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いっちゃん☆メディコ

放送日時
毎週月曜放送(「いっちゃん☆KNB」内)

【すい臓がん】富山県内で受けられる最新医療 コンバージョン手術とは?【いっちゃん☆メディコ】

発見された時には治療が難しいケースが多いといわれる「すい臓がん」。富山県内で受けられる最新治療について、富山大学附属病院 消化器・腫瘍・総合外科教授で副病院長の藤井努(ふじい・つとむ)医師に聞きました。

(2024年4月8日放送。情報はすべて放送時のものです)

藤井医師

「多くの方は腹痛、お腹が痛い、もしくは背部痛、背中が痛いという一般的にはよくあるような症状で見つかります」

 

 

がん全体の死亡者のうち「すい臓がん」は男性で第4位、女性で3位となっています。早期の「すい臓がん」はほとんどが無症状で、気が付いた時には進行していて手術が難しいことが多くあります。

一方で医療の進歩により これまで切除できなかったがんが手術できるようになる技術が開発されています。

 

 

藤井医師

「コンバージョン手術という言葉があります。これは元々切除できなかったすい臓がんが切除できるようになる。これは最近とても増えてきておりまして、手術ができた方は非常に良い結果を得ています」

すい臓がんのコンバージョン手術とは?

コンバージョン手術とはどんな手術なのでしょうか?

 

 

藤井医師

「まず抗がん剤治療をやっていただきます。その中で非常に効果があった方には、さらに放射線治療を追加して最終的に手術にいく、多くは、周囲の血管に浸潤していることが多いので、その血管を同時に取って繋ぎ合わせるなどの特殊な、またかなり高難度な技術が必要になりますが、富山大学では非常にそれは安全に出てきています」

 

 

まず切除不能のがんに抗がん剤を投与します。そして小さくなって手術が可能となったら放射線治療を合わせて行い、がんが弱まったら手術をするという方法です。

 

 

藤井医師

「私自身だけの経験で100例以上、今までやってきていますが、非常に有望な治療方法だと思います」

手術後の合併症を少なくする新手法とは?

富山大学附属病院では手術後に起きる合併症を少なくする手法も開発しました。

 

 

藤井医師

「すい臓も切るんですけど胆管というやつも切るんですね。胆管と腸を縫うところというのは、その後非常に胆管炎といって、1ヶ月後、半年後、1年後、胆管炎で入退院を繰り返すことがあるんですね。手術した人の1割から2割に起きるんです」

 

 

胆管と小腸のつなぎ目で炎症が起きることで胆管炎になり、腹痛や発熱などの症状が出ます。新しい手法はこの点を改善しました。

藤井医師

「T吻合といいまして、胆管と腸をそれぞれT字型に切開を入れて、それでそれぞれ縫い合わせる。その繋ぎ目の大きさが非常に大きくなって、狭窄しにくくなって、胆管炎が起きにくくなるという、新しい方法です」

 

 

つなぐ際に胆管と小腸にT字に切り込みを入れてつなぐことにより、つなぎ目の面積がおよそ1.7倍に広がります。これにより炎症が起きにくくなるという方法です。

 

 

藤井医師

「旅行も行けるようになりますしね。何ていうか普通に仕事もしたり、あと、例えば抗がん剤治療も中断しなくていいんで、非常に良いと僕は思ってるんですけどね。はい。世界で初めてのやりかたです」

注目される最新のゲノム医療とは?

ほかにも新しい技術が次々に出てきています。

 

 

藤井医師

「近年いろいろと注目されているのはゲノム診断、ゲノム医療です。ゲノム診断をすることによって、特殊な薬物療法が使えることがあります。そのような治療というのはとても有効で、普通の抗がん剤よりも遥かに良く効きます。以前と比べるとかなりいろいろな新しい治療が出てきていますので、絶望することなく、諦めることなくしっかりと治療を受けていただきたいと思います」

 

 

医療技術は日々進歩していますが、早期発見と早期治療が何よりも大事です。定期的にがん検診を受けてください。

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